クラス編


  春が来ました。
  あれから何年が経ったんだろうか…
  今思えば全て思い出に変わっていってしまっている。

  あれから当たり前だけどみんな成長しました。
  戦いが終わってもう3年か4年の月日が流れて、私八神も今日から中学3年生です。
  もちろんちゃんと大輔くんも進級してますよ。   今日はクラス分け発表なのですが、これは毎年緊張します。

  お兄ちゃん達も無事(?)高校3年生になることが出来ました。
  今でもみんなで8月1日には毎年集まっています。普段ではあまり会えない丈さんや時たまアメリカへ行ってしまうミミさんにも
  会うことが出来ます。
  
  みんなで集まるのは珍しいことなのでこの時間は私たちにとってとても大切な時間です。


  さてさて…今年のクラス分けは一体ど〜なることやら…。


  「えっと〜私のクラスは3年2組か…他の人は…ット」

  ヒカリが他の友達の名前を探し始めると後ろから突然・・


   「ヒっカリちゃーん!同じクラスっ」
  大きな声で喜ぶ男子。本宮大輔はヒカリに大きな声で叫んでいた。

  「大輔くん。騒がしいよ!ヒカリちゃん1年間よろしく」
  「げ・タケルもかよ!俺が先に言おうとした言葉を…」

  大輔は悔しそうに言う。
  大輔くんもタケルくんも私の倍くらい身長が伸びた。
  あんまり大輔くんは見た目も中身も変わらない気がするけど、それはいつも3人で居るから気づかないだけなのかな?

  タケルくんは、小学校の頃よりモテてると思うから、前よりまして格好良くなったのかも…。ピントはこないなー
  そんなことを考えながらヒカリは2人に愛想良く返事を返す。

  「こちらこそよろしくね。大輔くん・タケルくん。去年はみんなバラバラのクラスだったから…今年はきっと良いクラスになるね♪」
  そう…去年はヒカリが5組でタケルくんが4組大輔くんがなぜか一人だけ離れて1組だったのです。
  1年の時は大輔とヒカリが4組でタケルが3組と言う結果で、大輔はとても調子に乗っていたことをヒカリは覚えている。

  これからの生活に胸の高鳴りを押さえてクラスに入るヒカリ達。

  これからのとても楽しい学校生活が送れることを誰もが望んでいた。






  クラスについた私たち。もうほとんどの新しいクラスメートは教室の中でおしゃべりをしていた。
  話題が弾んでいるグループもあればゲームか何かをいじっているであろうグループもある。

  ヒカリ達はそろそろチャイムが鳴りそうだったのでそのまま席に着いた。


  ヒカリ達がびっくりしたのは、自分たちの席が5年生の時と似たような感じの座席だったのだった。
  「なんか…小学校の時を思い出しちゃうね」
  ヒカリはくすくす笑いながら隣に座っているタケルに声をかけた。
  「僕が転校してきたときだよね。あの時もヒカリちゃんの隣だった」

  2人は小学校のことが懐かしく思えた。
  少しして先生が遅れて教室に入ってきた。教室に入ってきた先生が担任と言うことで生徒はどきどきしながら待つ。
  先生が入ってくると女子の歓声が上がった。それもそのはず…担任はまだ若い20代後半の大西孟(おおにしつとむ)先生だった。

  大西先生は体育の先生で明るく生徒の信頼がとても厚い。今日は先生の自己紹介とどんなクラスにしたいかなどのアンケートを
  書かされ今日の学校は終わった。

  「なんかあっという間だったね」
  「明日は委員会を決めるんだろ?ヒカリちゃんは何にすんの?」

  「私は…考え中!」
  ヒカリは小学校の頃より伸びた髪が顔にかかったので手で髪をとかしながら少し考えたが良いのが浮かばなかった。

  「タケルくんは?」
  「僕は何でもイイヤ」
  「そう。でもタケルくんなら何でもやれちゃうから大丈夫だよ!」

  ヒカリ達は明日の委員会決めの話をしながら帰りの支度をする。
  さてさて…

  この委員会決め、担任の先生はフツーに決めさせてくれるのか…
  怒濤の委員会決めは明日行われる。






  時刻は夜の11時を回っていた。

  「ヒカリ寝ないのか?」

  さっきまで自分の部屋で何かやっていたのだろう兄の太一が飲み物を取りに、リビングまでやってきた。
  「うん…もうちょっとだけ」
  ヒカリは目の前に置いてあるホットミルクを見つめながら座っていると、太一はヒカリの前に自分用の飲み物を持ってきて前の席に座った。

  「今日のクラス分けどうだったんだ?」
  「ン…良かったよ。久々に大輔くんやタケルくんとも同じクラスになれて嬉しかったし」

  太一からの問いかけに今日の結果を太一に知らせる。

  「大輔達も一緒か。俺はまぁまぁだったけどな。ヤマトとは別のクラスだったけど、仲の良い友達とは一緒だった」
  「空さんはお兄ちゃん達の隣の女子校に行ったんだよね」
  「あぁ…すっげーお嬢様学校。たまにヤマトと帰ってるの見かけるかな?」

  太一は一緒に帰っているヤマトと空を思い浮かべながら言う。

  「明日ね。委員会を決めるのでも自分のやりたい委員会が無くて…」
  「委員会なんて結構めんどくせーよな。俺は無理矢理中学校の時は実行委員や学級委員なんかやらされたけどよォ」

  太一は昔を振り返りながら言う。
  ヒカリもそーいえば…バッジ付けてたなぁ〜と思った。


  「まぁなるもんになるサ。決まったことをちゃんとやっておけば先生はちゃんと評価してくれると思うしよっ。まぁ俺はそろそろ寝るわ」
  「うん。お休み」

  太一はあくびをしながら寝室へと行く。


  やりたいのがないとか、自分の意志がないみたいでちょっと嫌だったんだ。なんて到底兄には言えずそのままヒカリは太一を見送った。
  あれからいろいろとみんな通っている学校が違う。

  丈さんは医大へと足を進め、お兄ちゃんとヤマトさんと京さんは近くの公立高校に通いその近くの女子校に空さんは通っている。
  光子郎さんは有名進学校ヘミミさんは私立高校の国際科で学んでいる。一乗寺くんは私立中学に通っていて、(エスカレーター式のエリート中学)
  伊織くんは私たちと同じ中学で剣道部にはいると前々から言っていた。

  みんな頑張って自分の人生を真っ直ぐに進んでいるんだ。
  お兄ちゃんは今でもサッカーを続けているけど高校で辞めてしまうらしい。
  なんかデジモンと人間がいつでも仲良く生活が送れるように…デジモンと人間の架け橋になりたいって前に言っていた気がする。

  今では少しずつではあるがデジモンをパートナーに持つ人間が増えてきた気がする。
  いつかはテイルモン達とこの人間世界で一緒に暮らせたら良いな。

  ヒカリは机の上に置いてあったミルクを飲み干すと、眠さをこらえて歯磨きをしベッドの中に入った。






  

  夜が明けて、朝が来る。
  さてさて…
  ついにこのときが来てしまいいました。


  朝には平和だったクラスがいきなり地獄へと凍り付く瞬間。

  「さぁ〜て今日は委員会決めだよな。俺が決めてやるよ」

  さっきまで担任の大西孟先生は姿を消し、今目の前にいるのは…評判の悪い先生・加藤正<かとうまさし>だ。
  この学校で彼のことを好んでいるのはほとんどいないであろう。

  大西先生はと言うと急な訪問者のお相手…クラスのほとんどが今大西先生に早く帰ってきて欲しいと思っているだろう。

  「まずは、やっぱりクラス委員だよな」
  そう言う加藤。 「誰かやりてぇ奴いるか?」
  静埋まり帰るクラス。その中ソノ空気を変える手が上がった。

  「はい。私立候補します」

  手を挙げたのは、綾崎春菜。春菜は、しっかり者で優しくみんなの信頼も厚い。まさに学級委員にもってこいの人材だった。

  「じゃ…男子は…」
  その時一人の女子が手を挙げた。

  「先生!私男子のクラス委員は高石くんがいいと思います」
  「私も!」
  クラスの女子が騒ぎ出す。

  「高石!どうだ?」
  クラス全員の視線がタケルに集中する。
  「エ……分かりました。引き受けます」

  「キャ〜〜〜!!!^^」
  教室中に黄色い歓声が広がる。

  「女子うるせーぞ!」
  大輔が口をとんがらせながら言う。

  「うっさいよ!本宮!!」
  「そうよ!大輔は黙ってなさいよ!」

  「お前らがタケル!タケルってうっせーんだよ」

  大輔の発言で、クラスの1部の女子の怒りに火がついた。

  「うるさいよ!大輔。そうだ!ヒカリあんたあの馬鹿に何か言ってよ!」
  「エッ?私…?」
  クラスの視線が一斉にヒカリに向けられる。

  「アッ…あの…」

  「みんな!八神さん困ってるよ。もうクラスが崩れてるじゃない」
  クラス委員になった春菜がクラスの対立を止める。

  「そうだよ。僕のことで言い争いは止めて欲しい」
  タケルも春菜に加勢する。


  クラスがおとなしくなり、次の委員会決めが始まった。






  「それじゃ書記は伊藤俊也と渡辺嘉穂だな。次は特別実行委員…」
  騒動もいったん鎮まって、次々と決まっていく委員会。ヒカリの名前はまだでていない。加藤が引いた名前は

  「八神…八神ヒカリ。お前女子の実行委員決定な。まぁ大変だと思うが頑張って欲しい」
  「あっ…はい」
  まぁ…反発しても意味がないので一応静かに従っておくことにしておこう。

  「次男子…」
  その時ガタッと誰かが立ち上がった音がした。

  「先生!俺、実行委員立候補!」
  「大輔!お前抜け駆けすんな。どーせおまえの事だから八神と同じ委員会やりたいだけだろう」
  「お前みたいな奴はぜってー応援団長適任者!大輔お前団長やれよ」

  ここぞとばかり反感の声でヒカリもだんだんと恥ずかしくなってくる。

  「えーーい!じゃあ応援団長もやるから実行委員やらしてくれ」
  「本宮そんなこと言って良いのか?」
  「男に二言はねぇ!」

  大輔の熱心な頼み(?)で応援団長もやるという条件付きで大輔は実行委員になるチャンスが与えられた。
  しかし…実際実行委員と言うものはとっても忙しい。男に二言はないと言っている大輔だが、クラスの誰もが「無謀」だと思っている。

  特に大輔の場合頭がいい方ではないのでサッカー推薦を一応ねらっているのだが、この委員会をやってしまえば最後…
  半年で1年間分の委員会をやった気分になるくらい忙しいのだ。こんなのでは部活にでることさえ少なくなってしまう可能性もある。

  まぁあとは今年の予定で決まると言ったところだ。(運任せ)こんな事になると分かって希望した大輔はよっぽどヒカリに惚れているのであろう。
  かなり強引な成り行きだがこの1年頑張ろうと決心した大輔であった。

  「じゃあ男子は本宮大輔女子は八神ヒカリっと…」
  加藤は黒板に大輔とヒカリの名前を書き加えた。

  「ンじゃ次なー」
  「大輔くんと同じ委員会とか、楽しくなりそう♪宜しくね」
  「おう♪ヒカリちゃんのためなら俺頑張っちゃうもんねー!」

  半分やけくそ・もう半分は調子に乗りながら大輔はヒカリに返事を返した。
  そんなことはひとまず置いといて次々と名前が書き加えられていく。残り時間がわずかになった時に全ての委員会・教科リーダーが決まった。

  途中でやっと大西先生も戻ってきて無事?クラス全員加藤から解放された。

  「明日から授業が始まるぞ!用具を忘れないように」
  「起立!礼、さよーなら」

  みんながぞろぞろと帰っていく。

  校門を抜けて、それぞれ帰宅していくお台場中学校の生徒達。
  そんな生徒達と一緒になりながらヒカリ達もそれぞれ家に向かって歩いていた。

  「あー明日からまた授業だーーーーーーー!」
  大輔のむなしい声が響く。

  「これで僕たちも受験に向けて勉強しないとね」
  「私あんまり実感わいてこないな…」

  ヒカリがぼーっとしながら言うと

  「俺もーーー!」
  大輔も手を挙げて言う。

  「少しずつやっていくんだよ。大輔くんは大変かもしれないけどまだ1年あるから大丈夫だよ」
  「タケル〜〜〜俺は大変ってどういう意味だよ!」

  タケルの言葉に切れる大輔。
  「自覚してるくせに…小学校の時から今でも分数が苦手なのはどちら様だったけ?」

  「くっそ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
  タケルに殴りかかろうとする大輔。
  「もー大輔くん!」

  ヒカリは大輔に止めなさいと声をかける。
  「……ちぇ」


  いつまでもこんな幸せな時間が続けばいいのにな…

  みんなが仲良しで、平和な世界が…
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